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No.3 2000年9月4日号
パーソナルマーケティングの発想

━━ Management Today = 市場価値を高めるヒント = ━━━━━━━━━━
                                                     No.3 2000年9月4日号
                                                      市場価値測定研究所
                                                                藤田 聰
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                     パーソナルマーケティングの発想
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 昨年来、「エンプロイヤビリティ(Employability)」という言葉をよく耳にす
る。人事系のセミナータイトルでも頻繁に使われている。"雇用されうる能力"と
いう意味である。"雇用"という言葉を使う以上、会社側の論理といえよう。筆者
は敢えてこの言葉を使わない。"雇用"という言葉は"従業"と対をなす言葉であり、
これまでの帰属社会においては成立しよう。今や契約社会に変容しつつある。つ
まり、雇う(会社)・雇われる(個人)という関係性ではなく、売る(個人)・
買う(会社)という関係性が正しい。その意味において、「マーケタビリティー
(Marketability)」−"市場に受け入れられ得る能力"の方が時代を反映している
と考える。会社ではなく、"個"を軸としたニュアンスである。

 契約社会、大競争時代を生き抜くに当たり、自己を商品として捉えることが重
要である。つまり、個にとって、マーケティング発想は必要不可欠といえる。ま
ず自分の商品価値を知り(評価)→更に高め(向上)→うまく表現し(演出)→
そして新しい価値を創る(創造)というフィードバックシステムを考えていかな
ければならないだろう。

 商品である以上、絶えず商品価値を上げるべく技術革新(Innovation)をしな
ければならない。何もしなければ、商品が陳腐化して価値が逓減してしまう。商
品には人間と同じく寿命がある。ライフサイクルを伸ばすにはそれなりの自助努
力が必要である。

 更に、これからは価格のメカニズムを意識する必要があろう。ご存知のように、
価格は"需要"と"供給"との関係で決定する。つまり、供給者である"個"は需要の
多いマーケット(市場)に自分しかできないもの(スキル)を供給することが圧
倒的に有利といえる。競合がない分、絶対的な価格が提示出来る訳だ。その意味
において、これからの時代−自分というオリジナルブランドを創造する必要があ
る。

 では、自己の価値を上げるにはどうすればいいか?先日の企業研修でも、短期
間で飛躍的に伸ばすことは出来ないか?という都合の良い質問を受けた。答えは
"NO"だ。毎日をいかに過ごすかに尽きるのである。成果を上げている人の行動特
性から共通項を導き出す、今流行の"コンピタンシー"は有効かもしれない。一日
一日の過ごし方で未来は決まる。習慣といってよいだろう。良いことは習慣化す
るに限る。例えば、朝早く起きる(自分時間の創造)、残業は基本的にしない
(生産性の高い職務遂行)、会社以外の"場"を持つ(新しい価値観の醸成)等々、
挙げれば限りがないだろう。習慣の差の蓄積で価値は決定する。

 "環境"も重要といえる。筆者は人材市場価値の測定を行っているが、名門大学
を出て、安定的で成熟した大企業に入社され10年後果たして市場価値は高いか
といえば、必ずしもそうではないケースが多い。逆に、スタートアップ企業、ベ
ンチャー企業、外資系企業の人で市場価値の高い人が多いことも事実である。安
定した環境に身を置くか、食うか食われるかというぎりぎりの環境に身を置くか
によって、意識レベルが変わってくる。意識が変われば行動も変わる。筆者自身
も IBMという超巨大組織からPAOSという小規模組織に転職した際、かなりのカル
チャーショックを受けた。転職経験のある方は多かれ少なかれ同じような感覚を
受けただろう。 

 筆者は独立している身であり、毎日がサバイバルの連続といえる。一日一日を
大切に生きること−これこそが商品価値向上への一番の近道と考えている。

 脈略はないが、吉田拓郎の歌で、"今日までそして明日から"という曲。ロビン
ウイリアムズ主演の映画"今を生きる"。
結構いいと思う。


                                                                  以上。

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