━━ Management Today = 市場価値を高めるヒント = ━━━━━━━━━━
No.7 2000年11月6日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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価値について考える
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今回から「市場価値を高めるヒント」という原点に立ち戻りたいと考えており
ます。
まず、"価値"について考えてみましょう。
「"価値"とは、何かをするのにそれがどれだけ役に立つかという程度。狭義では、
値段を指す。」(三省堂 新明解国語辞典第二版より)つまり、"価値"が高い人
とは、その所属組織においてどういう形であれ役に立つ人のことです。プロ野球
の野村克也氏は日本一になったヤクルト監督時代に、"野球は9人でやるのではな
い。それを支える裏方があって初めて成り立つ。だから、金森(元西武、代打専
門の陽気なムードメーカー)は貴重な存在だ。"といっておられました。ほとんど
打席に立たなかった金森選手はチームが優勝するためには欠く事の出来ない存在
で、チームにとって価値があった訳です。その組織にとって、役に立つかどうか
がキーポイントです。
では、"価値"について、2つの視点でアプローチしてみましょう。
☆過去と現在という視点
まず、時間軸で捉えてみましょう。財務会計でキャッシュフロー(DCF)を
考える際、"現在価値"という言葉を用いますね。同じように、人間の価値にアプ
ローチしてみましょう。これまでは過去の価値に力点が置かれていたのです。例
えば、どの学校を卒業したか、どの会社に就職したか、というような過去の事象
から現在価値を推定してきた訳です。しかしながら、21世紀の契約社会におい
ては、即戦力として今、何が出来るのか。何で成果や貢献を上げるのかがシビア
に見られるのです。つまり、可能性(Potenciality)よりも実務技能(Skill)で
人材を評価する必要があります。
先日もヘッドハンターの方と歓談しましたが、"自信を持って紹介する人がなか
なか決まらなくなった。以前であれば、間違えなく決まっているレベルなのに。。。"
と嘆かれていました。昨今の経営者や人事担当はかなりシビアに人材を評価する
ようです。業種・職種毎のバラツキはあるものの、総括すれば、現在は買い手市
場といえるでしょう。買い手である企業に高値で買ってもらうためには、売り手
であるビジネスマン一人一人は自己を商品として捉え、売れるかどうかを常に念
頭に入れ、商品が陳腐化しないように、スキルアップを自己責任で図っていく時
代となったのです。
"値段"つまり、"価格"の決定因子は、需要と供給との関係です。つまり、欲し
い人が多く存在する市場に、唯一の供給者として存在すれば、高値で安定します。
これからのビジネスマンはこのような視点が必要でしょう。21世紀は組織の時
代から個の時代へとシフトしていきます。所得格差も今まで以上に大きくなるも
のと予測できます。
☆絶対と相対という視点
供給者として、もし競合他者(個人)が存在しなければ、絶対的な価格が提示
出来ます。本当に欲しいと思えば、どんなに高くても購入しますね。名画や宝石
然りです。今後読者の皆様が例えば起業を目指されるのであれば、既にある市場
に参入するのではなく、新しい市場を創出することを考えて下さい。既にある市
場ですと、当然競合他社が存在しますので、市場からは相対的に判断されます。
また、当事者としても常に競合を意識せざるを得ません。差別化をどう図るか?
付加価値をどう付けていくか?価格の優位性はどうか?等々。結構、考えること
が多く、ストレスが溜まるものですね。続きは次回にしましょう。
☆今号のまとめ
価値の評価… 過去価値(学歴、職歴)→ 現在価値(実績、成果)
価値の優劣… 相対的価値(既存市場)→ 絶対的価値(新規市場)
了。
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