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No.13 2001年2月5日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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“未来は○○○○の中にある”
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筆者も久方ぶりに風邪をひいてしまい、10日以上経ちますが、なかなか完治
しません。風邪自体の性質なのか、歳なのか、考えている今日この頃です。“今
年は暖冬”と昨秋、長期予報がありましたが、既に東京では早くも3回も本格的
な雪が降りました。どうやらあまりあてにならないようです。寒暖の差が激しい
ですので、読者のみなさんもご自愛下さい。
まず、冒頭のタイトルの○○○○に入る最も適切な言葉を考えて下さい。世の
中受験シーズン。今、真っ只中の中学受験に出てくるような問題をイメージしま
すか。
水曜日の夜、或る有識者の方からお話を伺いました。その中で、“人間として
の特性とは何か”ということが非常に印象的でした。それは“人間にはそもそも
予見する能力がない”ということを認識すべしとの答えでした。確かに、冒頭の
気象予報もはずれるケースが多いし、年頭恒例の経済予測を経営者や著名なエコ
ノミストがやっていますが、たまたままぐれ当たりすることはあれど、何年も続
けて当たった話なぞ、聞いたことはありません。地震予知連も然りです。かつて
全国の15箇所程度、危険地域を認定し、巨額の予防手段を講じましたが、実は
それ以外の場所で大きな地震が起こっているという事実や、阪神大震災も全く予
知していなかったという事象を冷静に考えると、やはりそもそも予見能力など人
間には備わっていないと考える方がどうやら合理的のようです。
世の中不景気であればあるほど、人は不安に駆られるのは言うまでもありませ
ん。ですから、その分野のセミナーや本は非常に売れるのです。本屋さんにいけ
ば、「21世紀はこうなる。。。」とか「本年度の見通し。。。」、はたまた、
「いつまで人間は生き延びられるか。。。」の類の本があれもこれもと山積みさ
せています。
よくよく考えてみると、セミナーに参加したり、本を読むこと自体、その場凌
ぎの行為とも言え、本質的な解決に至っていません。実は人間たる所以である、
予見出来ないという特性があるからこそ、未来をデザインできるということに気
付くことです。もし、未来が全てわかってしまえば明日何をしようかなどと考え
る必然性がないのです。面白みの無い人生ですね。結局のところ、その特性を活
かすことが重要なのです。だからこそ、先の見えない未来に向けて、自分自身の
ビジョン(ありたい姿)をイメージし、そこにたどり着くまでの道筋(戦略的計
画と行動)を考えるのです。未来が見えない、つまり、予見出来ないからこそ、
色々とあれこれ考えることができ、楽しいのです。
政治が悪い、経済が悪い、社会が悪いなどと、評論家ぶったことをいうのでは
なく、つんく氏が自動車メーカーのCFでいっているように、“まずやってみる”
ことこそが現状の打破や閉塞感からの開放に繋がるでしょう。何かを変えるため
には、まず自分が変わることが近道であるということを一人一人が認識しないと
始まりません。
人間の特性である予見できないからこそ、ビジョンや戦略を策定し、目的的に
生きることが出来るのです。これが出来ている人(自立型人間)と出来ていない
人(依存型人間)では出発点は同じはずですが、1年、5年、10年とスパンで
見れば、益々大きな差になって顕われてしまいます。
つまり、未来はどこにあるかといえば、輝ける未来も不安だらけの未来も実は
自分自身の中にあるということを肝に命じたいと思う今日この頃でした。
今号の言葉
“未来は自分自身の中にある。”
了
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