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━━ Management Today = 市場価値を高めるヒント = ━━━━━━━━━━
No.18 2001年4月16日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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頭の回転が速くなる方法
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第15号(→バックナンバーご参照)の最後の箇所で、一読者の方の問題提起
であった「頭の回転が速くなる方法」について、一読者の方からの意見から。
「市場価値を高めるヒント」としての「どうしたらアタマの基礎体力を高めら
れるか!」は、多くの人にとって切実な思いなのではないだろうか。しかし「ア
タマの基礎体力」と「頭の回転の速さ」は、必ずしも一致しないであろう。基礎
体力を示す要素にも、筋肉や心配機能などいろいろあるように、頭の回転の速さ
はアタマの基礎体力の一部でしかない。したがって、まず考えることは「頭の回
転を早くすること」が、自分の市場価値を高めるのに最も得策であるか」と問う
ことであろう。
私の人間観察に基づくならば、アタマの良さは、コンピュータの比喩を用いて、
次の3つに分類できる。
(1)CPU型アタマの良さ
(2)ハードディスク型アタマの良さ
(3)アルゴリズム的アタマの良さ
CPU型アタマの良さは、おそらく問題を提議された方が思っていらっしゃる
「アタマの回転の速さ」で、そもそも高速なCPUを頭脳として備えている人を
指す。ハードディスク的アタマの良さというのは、いわゆる記憶力に優れている
ことで、もともと容量の大きい記憶媒体を頭脳として持っているので多くの物事
を覚えることができ、非常に博識である。この2つは、いわゆるハードウェアと
しての脳みその特質に大きく依存する。つまり、生まれつき優れた脳みそを持っ
ている人が有利であることは否めない。恐らく、どうがんばってもこの人には勝
てない、というような頭の回転の速い人や記憶力の良い人に出会ったことがある
だろう。
3つめのアルゴリズム的アタマの良さは、むしろソフトウェアとして、考え方
のコツを上手く習得している人を指す。たとえば、非常に論理的に物事を考えら
れる、要点を上手く捉えて記憶することができる、など、ハードウェアとしての
脳みそが人並みであっても、ソフトウェアとしてのアルゴリズム、つまり考え方
のコツを身につけることによって、アタマの基礎体力が大きく向上することを示
している。
さて、アタマの基礎体力を高めるための具体的な戦略としては、まず自分のア
タマの良さというのは、どのタイプに属するのか診断してみることだ。そして、
もっとも当てはまるという部分をさらに伸ばす、というのが得策であろう。しか
し「やはり私は頭の回転が速いことにあこがれているし、それを是非伸ばしたい」
という人もいるだろう。(1)と(2)のアタマの良さは、生まれつき持つ脳の
構造にある程度依存するが、筋肉と同じで、ある程度訓練すれば、イチローのよ
うにはなれなくても、ノンプロの4番バッターくらいまでにはいけるかもしれな
い。
頭の回転を速くするためには、継続的に特訓することが早道である。具体的に
は頭の回転の速い人達との付き合いを多くし、常に彼らと接するということであ
る。しかも、単なるお友達としての付き合いではなく、議論や、ディベートを積
極的にふっかけてみる。勝った負けたを意識した議論を意図的に行なうことによっ
て、彼らの肩を借りた稽古をたくさんこなす。例えば、わざと反対意見を言って、
その正当性を主張してみたりするなど(しかしくれぐれも感情的なやり取りにな
らないように)。最初はかなわない相手でも、特訓を重ねることに、そこそこ勝
負できるようになるだろう。それは、自分の頭の回転が速くなってきている証拠
だ。
頭の回転の速い人は、いろんなところにいる。例えば「お笑いタレント」。ビ
ジネスとは一見かけ離れていても、彼らは非常に頭の回転が速い。したがって、
彼らとの会話は頭の回転を速める訓練としてはとても良い。ビジネスでも、一部
の金融や戦略系コンサルティングファームなどに頭の回転の速い人が多いので、
彼らとお近付きになって、是非特訓をお願いすることが大切だと思う。
ここでは、一例として頭の回転を速めるために、それに優れた人との接触を多
くして学ぶことを挙げたが、別の2つのアタマの良さにも同じことがいえると思
う。記憶力を高める法、効果的思考を身につける法、どれをとっても、先達を見
つけることが先決だと思う。そして、彼らを良く観察し、時には積極的に稽古を
申し込むことだ。特に、ソフトウェアとしての思考法については、生まれつき素
晴らしい脳みそを持っていなくても、アタマの基礎体力を高める上で非常に有効
であると思っている。
Sさん(シアトル在住)
以上、Sさん貴重なご意見ありがとうございました。特に、3つめのアルゴリ
ズム的アタマの良さを開発するためには、どの組織に身を置くかということが重
要でしょう。自己を成長されるために“環境”をマネジメントすることは“個”
の時代の重要なテーマと言えます。直接的には、個々人レベルの“関係性”とい
うことです。例えば、選手とコーチというような。金メダルを獲得した高橋選手
と小出監督との関係性は象徴といえるでしょう。自分をより善く導いてくれる人
を“メンター”といいますが、このような人の存在の有無が市場価値を高める上
で鍵といえるでしょう。
了
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