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No.19 2001年5月7日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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変革期におけるリーダーの基本的要件
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読者の皆さん、GWはいかがお過ごしでしょうか?本日は5月3日ですが、こ
のところ雨が降り、肌寒い日が続きますね。GWは中2日を入れて9日間ですね。
海外で過ごされる方、国内旅行に行かれる方、何もせずにのんびりされる方、そ
れぞれの過ごされ方をされますが、悲しいかな筆者はいつもと同様に過ごしてい
ます。お客様が休みですので、雑誌の取材やプロジェクトの作業、普段はあまり
時間を費やせない読書などをしています。
その中でも「知的資本主義」(アラン・バートン=ジョーンズ著 日本経済新聞
社刊)は読み応えがありました。皆さんが知識社会を生きる上での、個の在り方
をわかりやすく提示されておりました。
さて、ようやく動き出しましたね。政治の世界でも、これからはドラスティッ
クな変革が起きそうですね。歴史的に見ても、小泉政権の誕生は大きな節目とな
るでしょう。組織から個の時代へとシフトしている象徴的な出来事といえましょ
う。地殻変動のうねりとして、一昨年の石原東京都知事就任、昨年の田中長野県
知事就任、そして今回の小泉政権誕生と連鎖していますね。御三方ともに、強力
なリーダーシップの持ち主といえましょう。時代の変革期においては、これまで
のような調整型のリーダーは機能しないといえそうです。経済界の世界を見ても
然りですね。閉塞状況を打破するには、ビジョナリーリーダーが必要です。日産
のカルロス・ゴーン社長も然りですね。これは「外圧」による変革ということが
言えます。やや古いですが、筆者が所属していたIBMもかつては純正指向でし
たが、90年代前半ダウンサイジングの波に乗り遅れ、初めての経営危機に直面
した際、現ガースナー会長を外部から招き、ドラスティックな改革を断行し、9
0年代後半からは復活いたしました。
先月、筆者は或る会合に出席いたしましたが、田中長野県知事は“なるほどな”
ということを言っておられました。“この仕事は僕にとって究極のボランティア
ワークだ”と。確かに作家の田中康夫氏の方が圧倒的に年収(=市場での価値)
も高いでしょう。所得だけでいうとかなり落ちる訳です。田中氏曰く、“従来型
の政治家は落選したら、だだのおじさんでしょう。”まともな職にも有り付けず、
食い扶持がなくなるという意味でしょう。要するに、選択肢がないのでしょう。
よって、選挙対策を第一に考えるということに陥ってしまうのですね。国家に対
する自らの理念やグランドデザインが無い人が多いのですね。つまり、田中氏や
石原氏のような技能的に自立していて、経済的な余裕がある人が政治家になると
いうことは今後のひとつの方向性ではないかと考えた次第です。
もう1点、田中氏はその会合で、国際政治論者の舛添要一氏に向かって、“僕
たち友達いないでしょう。”と冗談っぽくいっておられました。結果を別にすれ
ば、確かに何かをスピーディーに行うという目的に対しては、民主制ではなく専
制君主制がよろしいのでしょう。変革期においては、自らの理念に基づき、その
目的に向かって具体的に行動できるかどうかということが何よりも重要ではない
でしょうか?少々の痛みは伴いますが、これまでのように時間を掛けて調整をす
る時間的な余裕はないのです。
その意味合いにおいて、変革期におけるリーダーの資質において、憎まれない程
度に嫌われる覚悟を持つということは基本的要件であるといえるのではないでしょ
うか。
了
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