━━ Management Today = 市場価値を高めるヒント = ━━━━━━━━━━
No.20 2001年5月21日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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フェイスマネジメント
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まずは訂正から。前号の中で取り上げた書籍のタイトルの誤りがありました。
読者の方からコメントをいただきました。「知的資本主義」ではなく、「知識資
本主義」の誤りです。お詫び申し上げます。
本日(19日)昼に大学時代のゼミの会合がありました。少人数でしたが、た
またま隣に座られていた方からお名刺をいただいたのですが、何と!今話題の日
産自動車の常務様でした。筆者はかつて企業内研修等のお仕事でお付き合いさせ
ていただきましたが、ここ数年前までは世間でも言われていたように官僚的な風
土の代名詞であった訳です。 その方のお話では、カルロス・ゴーンさんが来て
から上から下まで価値観や行動形式が変わったとのことでした。例えば、これま
で言われていたように、“上になればなるほど楽になる”という構造が、今では
“上になればなるほどきつくなる”という構造だと。確かに、欧米型の企業では
“社長(CEO)こそが、最もタフな仕事である”と言われています。ゴーン社
長率いる今の日産自動車は日本型から欧米型へオペレーションスタイルが移行し、
もはや国産企業ではなく、外資系企業に変革したかもしれません。“自己を絶え
ず進化させるべく具体的な行動をしておかないと、トップ会議での話についてい
けなくなる”ということでした。この会合の後、英語のトレーニングが待ってい
るということでした。土曜日ですよ。あー恐ろしい。
筆者はかつてCI(シンポリックアウトプットによる経営変革)のプロジェク
トに従事しておりましたが、短期間に風土変革を実現するためにはトップが代わ
ることに尽きるでしょう。結局のところ、トップの哲学や信条や理念が経営の原
点となるからです。復活劇を遂げたIBMのルイス・ガースナー氏、シティコー
プのジョン・リード氏然りですね。世間では大規模リストラ等が話題になります
が、変革の本質は違うところにあるような気がします。
余談になりますが、上述の経営者のように、やはり哲学や信条や理念を持たれ
ている方はいい顔をされていますね。“男は顔に自信を持て”とか、「男の顔は
履歴書・・・」と作家である藤本義一さんの本のタイトルではありませんが。
唐突ではありますが、「フェイスマネジメント」なる新しい研修テーマはいか
がでしょうか。お化粧の仕方ではなく(当然ですね)、顔はその人の人生そのも
ののアウトプットですので、経営者でも政治家でも科学者でもその分野で一流で
あること、人間的に魅力があることの両方を兼ね備えていることが教える側とし
ての基本的な要件でしょう。メンタリングやコーチング技法を取り入れて、良い
顔になるためには、最低でも3年は掛かる時間を要する定着型の研修となるでしょ
う。
トップがいい顔であるかどうかは健全な企業であるかどうかのバロメーターに
なると筆者は考えておりますが、いかがでしょうか? 確かにいい顔をしている
かという判断基準は難しいのですが、好きな顔、嫌いな顔ではなく、良い(良さ
そうな)顔、悪い(悪そうな)顔は何となく意見が共通するものと考えます。明
確なビジョンを持って生きておられる方は眼の輝きを持っていますしね。
さて、その会合の後、ウエスティンホテルで或る方とお話しましたが、その方
は筆者の大先輩であるIBM出身の方ですが、IBMの強みはという議論をしま
したが、やはり“人材育成”に尽きるということでしょう。いかに部下がプロモー
トされたかは非常に重要な評価基準です。このような考え方があるからこそ、人
材輩出企業といえるのでしょう。
先日の新聞記事で、IBMは来年度より“二足のわらじを認める”ということ
が取り上げられていましたが、組織はあってなきようなものと今後はバーチャル
な発想をすることが個として求められるでしょう。
了。
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