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                                                    No.27 2001年9月3日号
                                                      市場価値測定研究所
                                                                藤田　聰
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                          スピードとタイミング
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  本日は８月３１日、早いもので夏も終わろうとしています。読者の皆さまはバ
ケーションを取られましたか。筆者はどこへも行かず、ここ数年、常態化してい
ます。日本の場合、暑い（気候）し、高い（値段）し、多い（人）しということ
で、出来る限りずらして取るようにしています。

  さて、このところ、松下、東芝、本日の日立製作所等、１万人単位の大幅な人
員削減が新聞紙上で多く取り上げられています。どの企業も“組織生産性”とい
う観点では、まだまだ改革の余地はありそうですね。多くの日本企業は人に優し
かった（⇒本当は優しくなかった）ツケが廻ってきたという状況でしょう。

  逆に、昨日の新聞で、システムエンジニアを倍増させることを発表した日本Ｉ
ＢＭ等、元気な企業もあります。９０年代前半の苦境を乗り越え、競合他社より
も早くハード産業からソフト産業へと着手した結果といえるでしょう。出身企業
が元気なことは同期もいることですし、非常に嬉しいものです。

  上述の日本を代表する企業も、バブル以降、業務改革を推進してきた訳ですが、
スピードが重要なのです。戦略転換のスピードに、組織改革のスピードが追いつ
けなかったということです。

  政治も世界も似ていますね。これまでは、政治的・経済的にも安定成熟期であっ
たので、森さん、（故）小渕さん、等々、管理調整的なタイプの方々が持てはや
されたのでしょう。「平時」といってもよいかと思います。　　

  しかしながら、現在は「有事」、時代の変革期で、古いものから新しいものへ
の移行時と考えられます。よって、人々はシンボリックな変革型のリーダーを求
めるのです。森さん選出の最大の失敗は、時代環境は有事（変革期）に移行しつ
つも、トップが有事ではなく、平時に向く保守・調整型リーダーを密談で決めら
れたからでしょう。

  つまり、戦略と組織の整合が取れなかった結果、あのような不支持率となって
しまったのではと筆者は解釈しております。その点、小泉さんは変革期に求めら
れるリーダーとしての資質・能力があり、その結果として、あのような８０％以
上という支持を獲得できたといえるでしょう。

  蛇足ですが、プロレス好きの友人のコネで、約３年前、日本武道館のリングサ
イドの最前列で観戦したことがありますが、となりの席が森さんでした。当時、
幹事長でしたが。お互いスポーツ好きということはあるかもしれませんが、筆者
は個人的には非常にいい方だと思います。

  更に話は脱線し、１０年近く前の夏、某衆議院議員候補の選挙活動の仕事をし
ましたが、選挙事務所にお忍びで来られた方が当時の新生党の小沢さん。筆者は
１人で狭い部屋に篭って作業をしていましたが、肩を叩かれ、振り向き様に見た
顔は小沢さん。ビックリすると同時に、強いオーラを感じたものでした。

  非常に有能な方でも、運とか巡り合わせに支配されていることを首相の変遷な
どを考えるにつけ、つくづく感じるものです。石原さんが約四半世紀前、当時の
美濃部さんに惜敗しましたが、何と四半世紀を経て、東京都知事になるとは誰が
思ったでしょうか？確か１９７５年、前回の出馬の際、代々木駅前で見た、若き
頃の選挙演説が蘇ってきます。故裕次郎さんの応援演説もありました。

  価値を決めるファクターとして、スピードやタイミング、つまり、時間軸もど
うやら重要なようです。


                                                                    了。

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