━━　Management Today ＝ 市場価値を高めるヒント ＝ ━━━━━━━━━━
                                                    No.71 2003年7月7日号
                                                      市場価値測定研究所
                                                                藤田　聰
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                    　　　　　　人を動かす
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  このところ、物騒で残虐な殺人事件が多いですね。やはり、不景気で不安定な
状況が続きますと、人の心も病んでしまうものなのでしょうか。それにしても、
ＮＹヤンキースの松井はこのところいいですね。明るい話題がもっと欲しいとこ
ろです。ＪＡＬのキャラクターになっていますが、功を奏しています。活躍する
かどうかのリスクはありましたが、勇気ある決断でした。

　先日、懇意にしていただいているコンサルティング会社の採用説明会をオブザ
ーブいたしました。組織変革を得意とする会社です。会社を変えることは社員を
変えることに他なりません。社員、とりわけ、コア人材と言える第一線のマネー
ジャーにフォーカスをあて、ここを基点として変革を促していくという手法です。

　嘗て、”変わらなきゃ”という掛け声ばかりで、一向に変わらない大手自動車
会社は、トップを変えることで、劇的な変化を齎しました。つまり、理念やビジ
ョンの象徴といえるトップを変えることにより、従来の思考行動パターンが変わ
り、これまでの価値観が１８０度変容したのです。

　この会社はトップのみならず、再生のシナリオを作成したＣＦＴ（クロスファ
ンクショナルチーム）は各部門から精鋭が選抜され、変革の代理人として、十分
機能したのでした。このメンバーから、若くして執行役員になられた方も存じ上
げております。偶々、筆者の大学時代の先輩が常務をされておられますが、その
方曰く、”今までの価値観だったら、絶対に役員などなれなかった”と言い切り
ます。つまり、人材の評価軸もドラスティックに変わったのです。

　先のコンサルティング会社の話に戻りましょう。成果目標をプロジェクトメン
バーで共有し、達成することをコミットメントすることから始まります。では、
どのように達成に導くかはコンサルタントの力量次第です。この会社は常駐型の
ワークをされ、社員と同じ目線で働きます。

　では、どうやって変えていくか？答えは簡単です。社員以上に働くことです。
誰よりも早く出社し、誰よりも遅く退社するとのことです。コンサルタントとい
う外部の人間でも社員以上に働いている姿に共感、感動をし、俺たちも頑張らね
ばという意識になり、行動が変わって、自律的に物事を取り組まれるようです。

　そこで一度成功体験を創れば、後はそれが筋肉となり、テーマが変われど、達
成までのプロセスは体得できていますので、後は一人歩き出来るようです。第一
線のマネジャーを核に、周りのメンバーに波及されていき、結果的に組織、会社
が変わっていくのです。

　この方法は故・土光敏夫さんが再建請負人として、大手企業の社長に就任され、
組織リーダーを召集した第一声は、”リーダーは社員の３倍働け！トップは１０
倍働く。”というようなニュアンスのことを宣言されたことは有名です。本質的
には共通していることがわかります。やはり、組織を変えるには、感動を生む位
のプロジェクトＸ的な気概・気骨を持って、事に取り組む姿勢が何よりも重要で
あることがわかります。

　                                                                 　了。

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