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                                                   No.72 2003年7月21日号
                                                      市場価値測定研究所
                                                                藤田　聰
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                    　　　　　技能は国境を越える
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  メジャーリーグのオールスター戦が先日、シカゴで行われました。今年は３名
の日本人が選出されプレーをしました。マリナーズの長谷川投手は散々な結果で
したが、イチローも松井も、まずまずの結果だったと思います。

　メジャーリーグは世界最高峰のレベルで、アメリカ人以外に世界各国から優秀
な選手が集まります。その中で対等にプレー出来ることは凄いことです。人気投
票と監督推薦での選出ですが、何が評価されたかというと、卓越した技能とこれ
までの結果です。

　サッカーの中田やイチロー、長谷川は”郷に入れば郷に従え”で、イタリア語
や英語でコミュニケーションをするよう心掛けています。松井も外様ではなく、
本当の意味でヤンキースの一員と認識されるためには、何とか英語をブラッシュ
アップして欲しいですね。

　アメリカは言葉の国です。経験上、”以心伝心”や”無言実行”はありません。
”有言実行”が一番評価されます。自分の言ったことに責任を持って成し遂げる
−コミットメントすることが重要です。

　人種の坩堝であるアメリカの良いところは、嘗ての人種間差別はほぼ無くなり、
色が違えど、正当に評価されることです。個人的な体験ですが、留学当時、留学
先の大学でラグビー部に所属していましたが、印象的な出来事があります。

　最初の練習は今でも忘れませんが、フレンドリーなごく少数のメンバー以外、
ほとんどのチームメイトは声を掛けてくれませんでした。”色の違う奴が入って
来た”という感じでした。

　ところが、ひとたび練習が始まると、高校時代からそこそこやってきた筆者の
のレベルが上だったのです。彼らは筆者に近づき、”凄い奴がやってきた”です。
みんなは、”オレはマークだ、オレはジョンだ、…”と、寄ってきたのでした。
この時、これがアメリカだと実感しました。

　言葉のハンデはあるものの、技能的に上であるものはフェアに賞賛されます。
完全な実力主義です。英語が今一歩であっても、それを克服するものを体や技で
表現出来れば、正当に評価されるでしょう。

　イチローや松井の活躍はレベルは違えど、あの頃のことを想起します。これか
らの若者は日本というマッケットのみならず、世界を意識していただきたいもの
です。学問でも、東大には行かず、ハーバードやスタンフォードに行く優秀な日
本人学生も徐々に多くなっているようです。スポーツや芸術の世界でも、世界的
レベルの方をどんどん輩出してもらいたいものです。

　                                                                 　了。

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