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No.94 2004年6月21日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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キャリア論
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今週は月、火と横浜で中高年の方を対象とした再就職の研修、木、金とキャリ
アを考える企業内研修がありました。受講者の人材の能力を測定し、きちんと棚
卸しをした上で、今後のキャリアを考える研修、ワークショップはこのところ多
くなっています。
今回は“キャリア”について考えて見たいと思います。“キャリア”とは狭義
では、「職業、職務、職位、履歴、進路」を示します。広義の“キャリア”は
「生涯・個人の人生とその生き方そのものと、その表現のしかた」であると考え
られています。
ここ最近では、単なる職業的な意味合いに留まらず、人の生き方そのものとい
う捉え方−“ライフキャリア”というコンセプトが主流になりつつあります。人
生を形成する構成要素として、仕事は時間的にも大きな部分を占めますので、い
かに充実した時間を過ごせるかに掛かってきます。
仕事を中心とした経済的な要素の他に、家族、知人・友人、趣味、スポーツ、
自己啓発、地域社会、というような社会的・文化的な側面も、経済的に成熟した
日本において、今後は重要視されることでしょう。自分を中心とした様々の関係
とのポジショニングが重要で、トータルバランスが求められることでしょう。そ
れには、ある程度の戦略性は必要で、広義のキャリアビジョン・キャリアストラ
テジーを策定することが重要になります。
上記のようなカテゴリー毎に具体的な未来のイメージを明確化し、それに向か
って行動していくことこそが成功への道といえるでしょう。但し、ビジョンやス
トラテジーが明確で実行に移す過程においても、予期せぬ出来事に遭遇するもの
です。
予期せぬ出来事のことを、キャリア理論では、「計画された偶発性」というの
ですが、それを契機に別のキャリアが形成されたということが多々あります。結
局のところは、“なるようにしかならない”という前提で、ビジョンや戦略に基
づき、目の前の事に全力を尽くすというスタンスで日々取り組むことが出来れば、
経験上、必ずチャンスは生まれると私は考えています。
長い視点と短い視点を持ち合わせ、突然やってくる予期せぬ出来事に対峙し、
それを飛躍へのステップと客観的に捉えることが出来れば、直線的ではありませ
んが、スパイラルに、自分だけしか持ち得ないオンリーワンのライフキャリアが
形成されることでしょう。
キャリアを形成するにあたり、自らのビジョン・戦略に基づき、日々の行動を
通しての気付き、節目節目で柔軟な進路変更を行うことで、前から考えれば、思
いも着かないような方向にキャリアが形成されたということもあるでしょう。や
はり、目的を持った人と持たざる人では情報への感度が違うので、結局のところ、
ビジョンや戦略が必要であることがわかることと思います。
了。
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