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No.133 2006年2月6日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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『国家の品格』
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今日も寒いですね。毎週日曜、早朝テニスをしているのですが、車の温度計は
−2℃を表示していました。今までの中で最低気温でした。体が温まるまで、ラ
ケットを握る手は冷たいというか痛い感じでした。
さて、このところ、新書版を読む機会が多いのですが、読者の皆さんに推薦出
来るものを、僕の独断と偏見で、紹介していきたいと思います。
『国家の品格』(藤原正彦著:新潮新書刊)は海外経験も長い数学者が論理より
も実は情緒の方が重要であることを述べた本で、逆説的なところが響きました。
確かに論理とは理屈ですので、理屈を捏ねる前のテーマ設定こそが重要ですね。
それには、やはり情緒が必要であるとのことです。
確かに、なるほど!と思いました。その他、英語教育についても、文部科学省 主導のカリキュラムでは小学校から英語を取り込んでいくようになってきている ことに対し、基本である母国語−日本語がきちんと出来ていないうちに英語を教 育することは極めて危険であるとのことです。
世界で通用する国際人となるための前提として、日本人としてのアイデンティ ティーを自覚することから始まります。僕は大学卒業後、日本IBMという会社 に在籍していたのですが、当時の社長であられた椎名武雄さん(現・最高顧問) は国際人として極めて強い愛国心を持たれて、海外の方からも高い評価を得てお られました。
尊敬される日本人となるためには、実は日本人としてのきちんとした立ち位置 が必要であり、仕事のみならず、教養やユーモアを兼ね備えていないといけない ようです。今回のライブドア事件に象徴される金銭至上主義、経済的価値からそ ろそろ日本も卒業され、社会的価値や美的価値というものにシフトしていく予兆 のように感じざるを得ません。
著書曰く、日本の伝統である武士道精神を取り戻すことで国家の品格が保たれ
るということです。最後に、大正末期から昭和の初めにかけて駐日フランス大使
を務めた詩人のポール・クローデルは、日本の敗戦が確定しつつある昭和18年
に、パリでこういったそうです。
「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただ一つ、どうしても生き残って欲し い民族を上あげるとしたら、それは日本人だ」と。
了。
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