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No.155 2007年1月1日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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アメリカと日本−異質性と同質性
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あけましておめでとうございます。
2007年が読者の皆さまにとって素晴らしい年になりますことを祈念いたし
ます。当社、市場価値測定研究所が産声をあげたのは1997年10月です。今
年は10年、節目の年となります。節目の年に色々な新しい事業展開を予定して
おります。どうぞご期待下さい。
先日、日米を比較した興味あるレポートを或る方からいただきました。そのレ
ポートでは1860年頃、つまり、アメリカでは南北戦争、日本では明治維新の
頃、人口は約3000万人で同じ位だったとのことです。
その後、アメリカと日本は劇的な工業化を成し遂げ、世界有数の列国となって
いきました。第2次世界大戦後、10年単位で見れば、両国の勢いの浮沈はあれ、
両国とも継続的成功を収めました。
僕は80年代中頃、アメリカに住んでおりましたが、その頃は日本は経済大国
として世界を席捲しておりました。日本が経済的に最も礼賛された頃で、一人勝
ちの様相を呈し、ジャパンバッシングもあったほどです。
当時はレーガン政権で強いアメリカへの回復を目指していた頃でした。政策的
には強いものが勝つというような、貧富の差を大きくしていくような考え方でし
た。昨今の小泉さんの政策も似たようなところがあります。日本でも昨年、『格
差社会』という言葉も流行りました。
クリントン政権の90年代にアメリカ経済は再生していくのですが、昨今の状
況を見ると、日本もアメリカより15年程度遅れたスパンで同様の過程を進行し
ているようにも読み取れます。
現在、アメリカと日本の人口は3億人と1億3千万人です。アメリカは増加傾
向、日本は2004年をピークに減少に転じました。このまま推移すれば、20
50年頃には4億人以上と1億人以下、つまり4倍以上の人口の差になるのは確
実とのことです。
これまで取ってきた人口政索の違いは移民政策の可否と言えるでしょう。異質
性と同質性ということです。アメリカは移民政策を採り、人種の坩堝となった訳
で、コミュニケーション、意思疎通の困難さ、労働力の質の低さやコストの高さ
が問題であったわけです。
これを克服すべく普及していったソーシャルスキルこそが『マネジメント』だ
ったとのことです。逆に、日本は単一民族国家で、アジアの東北端に孤立する島
国でかつ、明治維新までの約250年間の鎖国政策を取ったため、同質性はより
高まっていった訳です。同質的であるが故、『マネジメント』という道具は必要
でないかもしれませんね。
現在の日本では、同質社会の中での異質化が急速に進んでいます。親と子、隣
人同士、教師と生徒・学生(学校)・職場の上司と部下(職業)、・・・といっ
たそれぞれの価値観の相違は異質化の潜在的状況です。
昨今の凶悪犯罪(特に親子間の)、若者の自殺や引きこもり、学校内の悪質な
いじめ、セクハラなど、会社員や公務員による汚職や内部告発等々、異質化の顕
在的状況であるといえるでしょう。
140年前には形式上は開国したものの、極度の同質社会を保持することによ
り最近まで事実上、鎖国し続けた日本は、同質社会の内部崩壊により、開国しよ
うとしています。そろそろ多様性(ダイバーシティー)が一般化していくように
思われます。
日本は魅力ある国とは言い難く、アメリカの魅力は色々な民族を受け入れ、フ
ェアにサクセスストーリーが描けることではないでしょうか?中国も「民主化」
というパラダイムシフトにより急成長をし続けています。日本も140年遅れで
すが、そろそろパラダイムシフトが必要不可欠だと思います。
了。
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