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No.169 2007年8月6日号
市場価値測定研究所
藤田 聰
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『何のために働くのか?』
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梅雨が明け、本格的な夏到来です。昨日から2日間、東京は猛暑でした。35
度と今年一番の暑さでした。週末はテニスとゴルフの練習をしましたが、さすが
に日差しも強く、かなりの汗を掻きました。
先程まで、『何のために働くのか』(致知出版社刊)を読んでおりました。著
者はSBIホールディングス代表の北尾義孝さんです。野村證券で要職を歴任さ
れ、50歳を前に天命に従い、ソフトバンクに転職され、ベンチャーキャピタル
事業等で社会的成功を収められています。
当著作は若いビジネスマンをメインターゲットに書かれたものですが、”働く”
ことの本質的な意味を問いかけています。昨今のライフドア事件や村上ファンド
等の社会的倫理感の欠如など、個人主義的な傾向、私利私欲のみに走ることへの
警鐘でもあろうかと思います。
著者は小さい頃から父親の影響で中国の古典などに日常的に触れられていたそ
うです。僕も大学で教える身ですので、どうしてもこのような本のタイトルに興
味をそそられるのです。
僕も学生時代、バイト先の店長から”これ読めよ”と勧められた陽明学の祖、
安岡正篤翁の本を何回も読みました。本質的な事は時代が変われど変わらない。
過去も現在も、たぶん未来も、社会の主役が人間である以上は人間学の勉強は有
効であるということです。
子供が生きていくために、親が教えなくてはならないことを怠った結果が今の
様々のネガティブな社会的現象に繋がっているかも知れません。あまりにも豊か
になった結果、徳育など、親の責務を果たさないことが原因ではないかと思うこ
の頃です。
教師として、親の代役は果たせませんが、薄っぺらな”自己実現”や”自分探
し”ということではなく、”志”−社会との接点においての為すべき事、他利を
考えていくことがリーダーの要件であることなど、専門分野以上に、人間学の重
要性をデジタル社会だからこそ、逆説的に訴えていきたいと思っています。
了。
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