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人材評価におけるグローバルスタンダードを目指して English
市場価値測定研究所 市場価値測定プログラム
Market Value Assessment of Japan
研究プロジェクト
1 「仕事の成果に関連する要因分析」結果報告
市場価値測定研究所 先端経営テクノロジー開発室 成果分析プロジェクトチーム
調査目的
 本調査は、仕事上の成果にどのような要素が関連しているのかを明らかにすることを目的としている。なるほど確かにどんな社員が成果を上げているのかといった点はある程度経験的に認識されているかもしれない。しかし、それはあくまで「直感的」なものではなかろうか。それがどこまで妥当な認識であるのかはしっかりと検証されていないのが現状であると思われる。そこで、わたしたちは上記のような「直感」を打破する1つの試みとして本調査を企画した。
調査方法
 当所のホームページ上におけるアンケート調査を実施した。また、メーリングリスト等を通して、調査の参加を呼びかけた。むろん、こうした方法はWeb上にアクセスする者に被調査者が限定されるため、統計学上の「代表性」には問題もあろう。しかしながら、本調査は仕事の成果の実証的な把握の重要性を企業人事部に対して喚起することを目的としている。したがって、統計学的な厳密さを多少犠牲になるものの、企業人事部への議論の提起がなされれば、本調査の目的は十分に達成されてと言っていいだろう。読者はこの点を何卒ご理解いただきたい。

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1) 各属性別のサンプルの分布

本調査のサンプルを性別ごとに見ると、男性38名、女性13名となる。年齢の分布は図1に示す通りである。ここから、25-30歳が最も多くなっており、次に35-40歳が多いことがわかる。年齢の平均は31.1歳(標準偏差は6.95)である。勤続年数の平均は8.17年(標準偏差は9.38)である。
最終学歴で見ると、「大卒」が30人と最も多く、「専門学校・短大卒」が6人、「院卒」が4人、「高卒」が3人、「中卒」が1人となっている。
平均年収は583万円(標準偏差は245)、「セブンレイヤーズモデル(コアスキル獲得度)」の平均得点は630点(標準偏差は166.3)となっている。
 業種については、「製造業・建設業」の者が21人と最も多く、「ソフトウェア・情報処理」が11人、「金融・保険」が7人と続いている(表1)。


表1:業種の分布
業種 人数
製造業・建設業 21
商社・卸売 6
百貨店・小売店・飲食店 1
金融・保険 7
運輸・通信・電気・ガス 2
マスコミ・広告・調査 1
ソフトウェア・情報処理 11
教育 2
官庁・地方自治体 0


2)セブンレイヤーズモデルの得点と年収の相関

セブンレイヤーズモデル(コアスキル獲得度)の得点と年収(単位は万円)の相関を見てみよう。セブンレイヤーズモデルの得点を独立変数、年収を従属変数とした回帰分析を行った結果が図2である。ここからわかるように、セブンレイヤーズモデルの得点と年収は5%水準有意で正の相関があることがわかる。すなわち、セブンレイヤーズモデルの得点が高いほど年収も高いという傾向が読みとれる。




3)クロス表集計

 ここでは「Q1:あなたは、会社における過去1年間の評定尺度(A,B,Cや可、不可などの記号)や目標管理表等を見て客観的に成果を上げたと言えますか?」に対する回答のうち「自信を持って言える」と「どちらかといえば自信を持って言える」を「成果を上げた」に、「どちらかというと自信を持っては言えない」と「自信を持って言うことはできない」を「成果を上げていない」に再カテゴリー化して従属変数としたクロス表集計を行う。なお、Q1は「過去1年間」という短期の成果であるが、これと比較するため長期の成果を設定する。具体的には、「Q3:過去3年間という期間で見たとき、あなたは仕事の成績を振り返ってみて客観的に仕事上の成果を上げたと思いますか?」の回答のうち、「そう思う」と「どちらかというとそう思う」を「成果を上げた」に、「どちらかというとそうは思わない」と「そうは思わない」を「成果を上げてない」に再カテゴリー化して長期の成果とする。
 以下のクロス表の表題における「成果(1年)」はQ1に対応する過去1年間の短期的成果、「成果(3年)」はQ3に対応する過去3年間の長期的成果を指す。


まず、現在所属している企業の経営方針に対する共感度と成果との関係を見てみよう(表2、表3)。それによると、短期の成果の場合、経営共感度が高いほど成果を上げている者が多いという傾向が読みとれる。しかし、長期の成果の場合、そうした傾向は読みとれない。


表2:経営共感度と成果(1年)
経営共感度 合計
共感している 共感していない
成果を上げた 25 14 39
89.3 60.9 76.5
成果を上げていない 3 9 12
10.7 39.1 23.5
合計 28 23 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表3:経営共感度と成果(3年)
経営共感度 合計
共感している 共感していない
成果を上げた 10 10 20
35.7 43.5 39.2
成果を上げていない 18 13 31
64.3 56.5 60.8
合計 28 23 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


上司との意見の対立と成果の関係については表4、表5が示している。短期の成果の場合、上司との意見対立の有無は成果にあまり関係しない。しかし、長期の成果の場合、意見対立がない方が意見対立ありよりも成果を上げていることがわかる。

表4:上司との意見対立と成果(1年)
意見対立 合計
ある ない
成果を上げた 27 12 39
77.1 75.0 76.5
成果を上げていない 8 4 12
22.9 25.0 23.5
合計 35 16 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表5:上司との意見対立と成果(3年)
意見対立 合計
ある ない
成果を上げた 11 9 20
31.4 56.3 39.2
成果を上げていない 24 7 31
68.6 43.8 60.8
合計 35 16 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


現在の仕事がやりたい仕事と一致しているか否かと成果との関係を見てみよう(表6、表7)。短期の成果の場合、現在の仕事がやりたい仕事と一致している方が成果を上げている。一方、長期の成果の場合、仕事一致と成果との関係はなくなっている。

表6:やりたい仕事との一致度と成果(1年)
やりたい仕事との一致度 合計
一致している 一致していない
成果を上げた 26 13 39
81.3 68.4 76.5
成果を上げていない 6 6 12
18.8 31.6 23.5
合計 32 19 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表7:やりたい仕事との一致度と成果(3年)
やりたい仕事との一致度 合計
一致している 一致していない
成果を上げた 12 8 20
37.5 42.1 39.2
成果を上げていない 20 11 31
62.5 57.9 60.8
合計 32 19 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


労働時間意識と成果について見てみよう(表8、表9)。短期の成果を見ると、労働時間を長いと感じない者ほど成果を上げている。長期の成果でもこうした傾向は維持されている。

表8:労働時間意識と成果(1年)
労働時間 合計
長いと思う 長いと思わない
成果を上げた 17 21 38
68.0 84.0 76.0
成果を上げていない 8 4 12
32.0 16.0 24.0
合計 25 25 50
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表9:労働時間意識と成果(3年)
労働時間 合計
長いと思う 長いと思わない
成果を上げた 7 12 19
28.0 48.0 38.0
成果を上げていない 18 13 31
72.0 52.0 62.0
合計 25 25 50
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


残業と成果との関係はどうだろうか(表10、表11)。これに関しては、短期の成果、長期の成果ともに残業が苦にならないと認識している者ほど、成果を上げていると回答していることがわかる。

表10:残業と成果(1年)
残業 合計
苦痛 気にならない
成果を上げた 9 30 39
60.0 83.3 76.5
成果を上げていない 6 6 12
40.0 16.7 23.5
合計 15 36 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表11:残業と成果(3年)
残業 合計
苦痛 気にならない
成果を上げた 3 17 20
20.0 47.2 39.2
成果を上げていない 12 19 31
80.0 52.8 60.8
合計 15 36 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


仕事のやり方と成果との関係はどうか(表12、表13)。これに関しては、短期の成果に関しては計画的な者ほど成果を上げているのに対して、長期の成果に関しては行動派の者ほど成果を上げているという結果になった。

表12:仕事のやり方と成果(1年)
仕事のやり方 合計
計画派 行動派
成果を上げた 27 12 39
93.1 54.5 76.5
成果を上げていない 2 10 12
6.9 45.5 23.5
合計 29 22 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表13:仕事のやり方と成果(3年)
仕事のやり方 合計
計画派 行動派
成果を上げた 10 10 20
34.5 45.5 39.2
成果を上げていない 19 12 31
65.5 54.5 60.8
合計 29 22 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


今までの仕事経験と成果との関係を見てみよう(表14、表15)。短期の成果に関してはスペシャリスト型の仕事経験をもつ者ほど成果を上げたとしている。一方、長期の成果については様々な仕事経験をもつジェネラリスト型の者の方が成果を上げている。
表14:今までの仕事経験と成果(1年)
今までの仕事経験 合計
スペシャリスト ジェネラリスト
成果を上げた 25 14 39
86.2 63.6 76.5
成果を上げていない 4 8 12
13.8 36.4 23.5
合計 29 22 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表15:今までの仕事経験と成果(3年)
今までの仕事経験 合計
スペシャリスト ジェネラリスト
成果を上げた 8 12 20
27.6 54.5 39.2
成果を上げていない 21 10 31
72.4 45.5 60.8
合計 29 22 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


家庭環境の良好さを図るため、夫婦仲と成果の関係を見たのが表16、表17である。それによると、夫婦で仕事の会話をする者ほど短期の成果を上げている。長期の成果に関してはそうした関係は読みとれない。

表16:夫婦の会話と成果(1年)
夫婦会話 合計
ある ない
成果を上げた 22 4 26
88.0 57.1 81.3
成果を上げていない 3 3 6
12.0 42.9 18.8
合計 25 7 32
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表17:夫婦の会話と成果(3年)
夫婦会話 合計
ある ない
成果を上げた 9 3 12
36.0 42.9 37.5
成果を上げていない 16 4 20
64.0 57.1 62.5
合計 25 7 32
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


資格への勉強姿勢と成果との関係はどうか(表18、表19)。短期の成果に関しては、資格への勉強姿勢と成果との関係は見られないが、長期の成果に関しては勉強に積極的な者ほど成果を上げていると回答している。
表18:資格への勉強姿勢と成果(1年)
資格への勉強姿勢 合計
積極的 消極的
成果を上げた 35 4 39
76.0 80.0 76.5
成果を上げていない 11 1 12
23.9 20.0 23.5
合計 46 5 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表19:資格への勉強姿勢と成果(3年)
資格への勉強姿勢 合計
積極的 消極的
成果を上げた 19 1 20
41.3 20.0 39.2
成果を上げていない 27 4 31
58.7 80.0 60.8
合計 46 5 51
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


学生時代の成績と成果との関係を見たのが表20、表21である。それによると、学業成績の高かった者ほど短期・長期ともに成果を上げていることがわかる。これは学生時代の学業への熱心さと仕事との関連を示唆する結果である。
表20:学生時代の学業成績と成果(1年)
学生時代の学業成績 合計
低い 高い
成果を上げた 10 23 33
58.8 88.5 76.7
成果を上げていない 7 3 10
41.2 11.5 23.3
合計 17 26 43
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表21:学生時代の学業成績と成果(3年)
学生時代の学業成績 合計
低い 高い
成果を上げた 5 10 15
29.4 38.5 34.9
成果を上げていない 12 16 28
70.6 61.5 65.1
合計 17 26 43
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


学生時代のリーダーシップ経験と成果との関係はどうであろうか(表22、表23)。それによると、短期の成果に関しては学生時代のリーダーシップ経験のある者の方が成果を上げているが、長期の成果に関してはリーダーシップ経験と成果との関係は見られない。
表22:学生時代のリーダーシップ経験と成果(1年)
学生時代のリーダーシップ経験 合計
ない ある
成果を上げた 13 20 39
72.2 80.0 76.7
成果を上げていない 5 5 10
27.8 20.0 23.3
合計 18 25 43
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表23:学生時代のリーダーシップ経験と成果(3年)
学生時代のリーダーシップ経験 合計
ない ある
成果を上げた 8 7 15
44.4 28.0 34.9
成果を上げていない 10 18 28
55.6 72.0 65.1
合計 18 25 43
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


学生時代の専門教育の評価と成果との関係はどうか(表24、表25)。それによると、短期の成果については学生時代の専門教育が今の仕事を行う上でプラスになっていると回答する者ほど成果を上げている。一方、長期の成果についてはそうした関係は見られない。
表24:学生時代の専門教育の評価と成果(1年)
学生時代の専門教育の評価 合計
プラス評価 マイナス評価
成果を上げた 25 7 32
89.3 50.0 76.2
成果を上げていない 3 7 10
10.7 50.0 23.8
合計 28 14 42
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表25:学生時代の専門教育の評価と成果(3年)
学生時代の専門教育の評価 合計
プラス評価 マイナス評価
成果を上げた 10 5 15
35.7 35.7 35.7
成果を上げていない 18 9 27
64.3 64.3 64.3
合計 28 14 42
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


学生時代の教養教育の評価と成果との関係については表26、表27にある。それによると、短期・長期双方の成果について、学生時代の教養教育が今の仕事にプラスになっていると回答する者ほど成果を上げていることがわかる。
表26:学生時代の教養教育の評価と成果(1年)
学生時代の教養教育の評価 合計
プラス評価 マイナス評価
成果を上げた 27 6 33
96.4 40.0 76.7
成果を上げていない 1 9 10
3.6 60.0 23.3
合計 28 15 43
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表27:学生時代の教養教育の評価と成果(3年)
学生時代の教養教育の評価 合計
プラス評価 マイナス評価
成果を上げた 12 3 15
42.9 20.0 34.9
成果を上げていない 16 12 28
57.1 80.0 65.1
合計 28 15 43
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


学生時代の経験で今の仕事をやる上で有益と思っているものと成果について見てみよう(表28、表29)。結果は正規のカリキュラムを有益と答える者ほど、短期・長期の成果を上げていることがわかる。一般的にはアルバイト経験、サークル経験が「役に立つ」ものと思われているが、本調査の結果から見れば、正規のカリキュラムの方が仕事の成果に関係していることがわかる。


表28:学生時代の課内外経験と成果(1年)
学生時代の経験で今仕事で有益なもの 合計
正規カリキュラム 課外活動
成果を上げた 24 9 33
88.9 56.3 76.7
成果を上げていない 3 7 10
11.1 43.8 23.3
合計 27 16 43
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表29:学生時代の課内外経験と成果(3年)
学生時代の経験で今仕事で有益なもの 合計
正規カリキュラム 課外活動
成果を上げた 10 5 15
37.0 31.3 34.9
成果を上げていない 17 11 28
63.0 68.8 65.1
合計 27 16 43
100 100 100
※下段(青字)は%を示す


仕事における大学時代の専門知識の使用頻度と成果との関係を見てみる(表30、表31)。短期の成果については、大学時代の専門知識の使用頻度が多い者ほど成果を上げているが、長期の成果に関してはそうした傾向は見られない。
表30:仕事における大学時代の専門知識の使用度と成果(1年)
仕事での大学の専門知識使用頻度 合計
使用する 使用しない
成果を上げた 22 10 32
84.6 62.5 76.2
成果を上げていない 4 6 10
15.4 37.5 23.8
合計 26 16 42
100 100 100
※下段(青字)は%を示す
表31:仕事における大学時代の専門知識の使用度と成果(3年)
仕事での大学の専門知識使用頻度 合計
使用する 使用しない
成果を上げた 9 6 15
34.6 37.5 35.7
成果を上げていない 17 10 27
65.4 62.5 64.3
合計 26 16 42
100 100 100
※下段(青字)は%を示す



 以上、いくつかの点について仕事の成果に関係する要因について見てきた。その際、重要なのは、第一に、短期の成果と長期の成果を区別して考えることであろう。短期の成果を上げる要因、長期の成果を上げる要因は、まったく別物ではないにせよ、異なる部分もあった。短期と長期の区別は目先の利益にとらわれないという点に加えて、勤労者のキャリア形成とも関連しており、今後さらなる検討が必要であるように思われる。
第二に、学生時代の経験と成果との関係を十分に検討すべきであるという点である。従来から、学校教育や大学教育については、「まったく不要である」とか「役に立たない」といった根拠のない非難が絶えない。企業は有名大学卒を採用において優遇し、それは入社後のキャリア(昇進)にまで影響してきた。現在でも少なくない「一流企業」が有名大学の学生のみを対象とした「OB懇談会」なるものを水面下で行っている。こうした「影」の採用活動の是非はともかく、学生時代の経験(特に学業経験)を正当に評価する指標の構築が今後の日本社会にとって重要な課題となるであろう。
第三に、当社独自の評価手法(セブンレイヤーズモデル)を用いてコアスキル(基本技能)の得点化をした。コアスキルの獲得度と現年収との間に、正の相関関係があることを確認した。
"大転職時代"といわれる今日、「成果」というものが年収とリンクするという成果主義であるからこそ、どの会社でも必要な普遍的な能力をきちんと獲得することは自己防衛するためには必要不可欠といえるのである。
以上

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